住宅事情

私の住宅事情 (6) 

娘の産まれた年の夏に引っ越しをした。毎回出していた公団の抽選が当たったのである。倍率は2000倍ほどだった。宝くじを始め様々な抽選ではいつも外れていたから、当選する人がどこかにいるはずだとわかっていても自分とは無関係だと思っていた。住宅公…

私の住宅事情 (5) 

小笠原には3年いた。内地に戻ってくるときに、高校の卒業生と結婚する。私が赴任したとき彼女はすでに卒業していたので、直接教えたことはない。結婚式はしたくない、と妻が言うので届けを役所に出しただけの結婚だった。島にいる妻関係の親戚を集めて妻の…

私の住宅事情 (4) 

大学を卒業した時には27歳になっていた。新採のまともな就職にはつけない。そこで教員になることにした。静岡、神奈川、埼玉と日程が違う関東近辺を受験したが皆落ちた。最後に受けた東京に合格した。東京の問題は範囲が広く、高得点でないと合格しない、…

私の住宅事情 (3) 

高校浪人大学と合わせて12年間東京北区のアパート福寿荘で過ごしたが、この間1年ほど私は家出している。 工業高校を卒業して3年浪人の後入学したのは東京都立大学理学部生物学科であった。受験数学の成績が悪くないので理系を受験しただけで、特に将来展…

私の住宅事情(2)

私が昭和30年代をすごした8畳一間を今風にいうとワンルームということになり、いささか聞こえはいいが、文字通りの一部屋でそこに一家7人の衣食住がすべて詰め込まれていた。寝るときは、父と兄、母と私、姉2人が一つのせんべい布団に並んで寝た。残っ…

私の住宅事情(1)

「半世紀生きた人になっちゃうね」妻が言った。そうなのだ。私は3月3日で50歳になってしまった。まったくだまされたような気がする。気がついたら勝手に向こうから年が寄ってきて、そういうことになってしまったのだ。まあいい、そっちがその気ならこっ…